日光東照宮 最新情報

 新都庁舎ほか内外に優れた建築を残し、当宮の社務所・客殿の設計もして下さった丹下健三先生の思い出を綴った本が出版されました。丹下憲孝氏が著した『七十二時間、集中しなさい。』(2011、講談社)という本です。
 著者の丹下憲孝氏は丹下健三先生の御子息で、先生の後を継いで丹下都市建築設計の代表取締役社長を務めていらっしゃる方。タイトルになっている「七十二時間、集中しなさい。」とは、丹下健三先生の教えの一つで、巨大プロジェクトを次々と完成させていった並々ならぬ仕事への熱意を感じさせる言葉です。
 本書には、丹下健三先生がおしゃれで洋服の仕立てにこだわったことや、万事にわたってきれい好きであったこと、完全主義者で準備を怠らなかったことなど、その人柄を示すエピソードが語られ、次いで、赤坂プリンスホテルや代々木体育館など過去の作品の設計意図が記されます。ここでは、当宮の社務所・客殿についても触れられていますが、これは大変苦労された作品だったそうです。というのは、丹下健三先生のテーマは、伝統的なものと現代的なものを融合させることにありますが、東照宮の場合は既存の伝統が重いため、新奇な要素を取り入れにくく、結局は伝統との調和を旨とせざるをえなかったというのです。そういうわけで丹下健三作品としては異色作に仕上がったという当宮社務所と客殿。東照宮にご参拝の折には、是非ご覧になっていって下さい。
 本書終盤では、丹下健三先生の建築に対する考え方をさらに掘り下げて、建物を単体としては考えず都市との調和を意識したことや、設計に際しては市民の記憶を利用することなど、独自の思想も語られていきます。
 一般向けに易しく書かれた本ですので、皆様にご一読をお勧めします。

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