日光東照宮 最新情報 平成28年 日光東照宮 御鎮座 四百年

 当宮宝物館では、『天地明察』の主人公、安井算哲(渋川春海)が製作させた渾天儀(天動説に基づく天体模型)を展示公開しています。算哲はいくつかの渾天儀を作っていますが、富山市科学博物館の渾天儀所在調査によれば、現存するのは当宮の資料一点のみです。

 以下、当宮への渾天儀奉納の歴史について述べましょう。

当宮に初めて納められた渾天儀は、元和年間(1615〜1624)に尾張徳川家から奉納されたものでした。それには自鳴鐘(ゼンマイ仕掛けの時計)が取り付けられ、天体も自動的に動くものでしたが、後に損壊して破棄されたようです。

次に奉納されたのが現存する重要文化財の「大渾天儀」です。若狭小浜藩士の石原信由が京都で田村某に作らせたものを、寛文9年(1669)に藩主の酒井忠直が幕府に献上し、翌10年に当宮に奉納しました。渾天儀は壊れやすいものらしく、当渾天儀も甚だしく破損していたところ、昭和61年から62年に修理を施して復元しました。

 そして最後に奉納されたのが、延宝3年(1675)に安井算哲(渋川春海)が津田友正に作らせた「小渾天儀」です。地平環の裏側には「延宝三年乙卯秋 安井算哲経営小渾天儀 金銀銅工 津田友正作之」の銘があります。この渾天儀は公家の伏原宣幸の目に止まったことから、当時の霊元天皇の叡覧に供せられ、天皇は御手ずから操作をして、天体の運行を試みられました。叡覧に達したからには、私蔵するのは畏れ多いということで、当宮に奉納されたものです。

 「天地明察」を目指して算哲が制作させたこの渾天儀に、どれだけの思いが込められているかを思うと、胸が熱くなります。